宮城県気仙沼市の男山本店店舗(国登録有形文化財・気仙沼市指定有形文化財、昭和5年建築)の保存修理工事を行った。かつて気仙沼の港町のシンボルであったこの建物は、平成23年の東日本大震災により1階と2階部分が全損した。残存した3階部分のみを大ばらし解体、格納保存した。保存修理工事では、失われた1階と2階部分を建物の痕跡調査、古写真、ヒアリングなどを基に復原し、3階部分は、可能な限り残存した既存材を利用して復原を行った。また、1階と3階部分には耐震補強の鉄骨フレームを設けた。3階部分と欄干と支柱、中央のペディメント飾り、コーニスなどの洗出仕上の外壁材は仕上面の補修と補強を行い、元の位置に復原した。外壁ブラケット照明、木製上下窓、中央ペディメント、金箔文字など創建当初の外観を復原した。本工事に際しては、市指定文化財として宮城県より建築基準法適用除外を受けた。