横浜市保土ケ谷区の高台にある保土ケ谷カトリック教会の保存に向けての実測調査を行った。現況建物の実測調査、記録写真撮影、史料収集並び図面作成、関係者等へのヒアリング等を行い、建築年代の特定や、建物及び敷地の歴史的背景を記録・考察した。教会堂は、鐘楼のないネオ・ロマネスク様式の木造1階建て(一部2階)。建物の設計はチェコ出身の建築家ヤン・ヨセフ・スワガーにより、昭和13年(1938)に竣工した。外装はモルタル塗りで仕上げた簡素な意匠で、10本の赤大理石風の円柱から支えられた半円アーチとヴォールト、石膏彫刻を着色したコンポジット様式の柱頭、ステンドグラスなどがつくるおおらかな暖かい上質な内部空間を持つ。屋根上には、ケルト系キリスト教のシンボルであるケルト十字架がつけられている。本調査業務の成果に基づき、保土ケ谷の貴重な歴史的遺産として保存を検討する。