宮城県気仙沼市の武山米店店舗及び主屋(国登録有形文化財・気仙沼市指定文化財、昭和4年建築)の保存修理工事を行った。古くから漁船に米を卸す米屋を営んでいた武山米店の店舗兼住居である本建物は、気仙沼内湾地区の町割りの特徴であるくさび形の敷地に合わせて建てられており、直角の少ない希有な平面形状を持つ。平成23年の東日本大震災で半壊の被害を受け、保存修理工事では、前面道路の拡幅に伴い、蔵を残して店舗、主屋を解体・移築し、蔵前に新たに蔵部分とトップライトで区切されたイベントスペースを設けた。また、津波で流失した店舗下屋部分を痕跡と古写真から復原。正面の外壁と銘板は大ばらし・再設置をしたほか、可能な限り、既存材を残して修理復原を行った。工事に際し、市指定文化財として宮城県より建築基準法上適用除外を受けた。